医薬業界紙「RISFAX」の基盤刷新から生成AI英訳まで:継続的な伴走型支援

株式会社医薬経済社 導入事例:RISFAX紙面と編集部デスク
株式会社医薬経済社 AWS基盤モダナイゼーション・生成AI英訳導入事例

会社名: 株式会社医薬経済社
所在地: 〒103-0023 東京都中央区日本橋本町4-8-15 ネオカワイビル8階
事業内容: 日刊速報「RISFAX」、業界誌「医薬経済」、データベース「RISBOX」、「医薬経済ONLINE」の発行・運営
URL: https://risfax.co.jp/ / https://iyakukeizai.com/

医薬経済社とは: 1988年創刊の日刊速報媒体「RISFAX」を中心に、医療・医薬品業界を代表する専門メディアを発行・運営。製薬企業、医薬品卸、薬局、医療機関、行政関係者など幅広い読者に向けて、独自の切り口で業界の真相に迫る報道を続けています。海外読者向けには、RISFAX記事の英文翻訳サービスも提供しています。

長年運用されてきたメディア配信基盤を止めることなく刷新し、そのうえで毎日の英訳業務に生成AIを導入。医薬経済社様とは2024年9月以来、約2年にわたり、基盤刷新・生成AI活用・データベース更新・運用保守を一貫してご支援しています。

本事例のポイント

  • 長年運用されてきたメディア配信基盤を、事業を止めることなく刷新。継続的な安定運用とセキュリティ向上を目的に、CMS・アプリケーション・データベース・AWS環境を多層的に強化
  • 翻訳専門家による毎日の人手翻訳を、Amazon Bedrock上のAnthropic Claude Sonnetによる自動英訳へ転換。生成AIの英訳に編集部による確認・修正と用語集の整備を組み合わせ、業務の効率化と翻訳品質の向上を推進
  • 基盤刷新・生成AI活用・データベース更新・運用保守まで、約2年にわたり一貫して伴走。「困ったときにすぐ動く」パートナーとして継続的な信頼関係を構築

これまでの歩み

  1. 2024.09AWS環境のセキュリティ強化・コスト最適化をご提案
  2. 2024.12 – 2025.06配信基盤の全面刷新とセキュリティ強化
  3. 2026.04 –生成AIによる英文版RISFAXの自動翻訳を開始
  4. 2026.07データベースのメジャーバージョンアップ
  5. 継続中運用保守・用語集拡充・コンテンツ保護のご提案
BEFOREAFTER
構築から年数が経過し、OS・ミドルウェア・CMSがサポート終了を迎えつつあった。保守負担が年々増大
OS・ミドルウェア・CMS・データベースを更新時点でサポート対象のバージョンへ更新。監視・バックアップ・エンドポイント保護を備えた基盤へ
朝のアクセス集中時にサイトの応答が6〜8秒に低下
Auto Scalingにより応答時間を2秒以下に短縮
英文版RISFAXは翻訳専門家が毎日人手で翻訳し、さらに校正工程が必要。人件費と時間の両面で負担が大きい
毎朝、公開前に生成AIが全記事を自動英訳。編集部による確認・修正と用語集の整備を組み合わせ、効率化と翻訳品質の向上を両立
医薬品名・企業名・人名など固有名詞の訳し分けが属人的で、蓄積・再利用の仕組みがない
業界固有名詞の用語集を構築し、編集部が自ら追加・修正できるUIを提供。過去記事を活用した用語集の拡充を推進中
データベースのバージョン更新に伴う停止やリスクへの不安
開発環境→本番環境の段階的な移行手順により、影響を最小限に抑えてメジャーバージョンアップを完了

プロジェクトの背景

医薬経済社様は、日刊速報「RISFAX」をはじめとする複数のメディアをAWS上で運用されています。業界紙として毎朝欠かさず記事を配信し続ける必要がある一方で、システムは構築から長い年月が経過しており、OS・ミドルウェア・CMSがサポート終了を迎えつつありました。医薬経済社様は、継続的な安定運用とセキュリティ水準のさらなる向上を見据え、基盤全体の刷新を計画されました。

もう一つの課題が、海外読者向けの英文版RISFAXでした。医薬業界の記事は、医薬品名・製薬企業名・行政機関名・政治家や経営者の人名など、固有名詞が非常に多いのが特徴です。医薬経済社様では経験豊富な翻訳専門家が毎日人手で英訳を行い、その後さらに校正を行う体制を取られていましたが、日刊媒体ゆえに毎日確実に発生する人件費と作業時間は、経営上も編集現場にとっても大きな負担でした。

協栄情報は2024年9月、AWS環境のセキュリティ強化とコスト最適化に関するご提案を行ったことをきっかけに医薬経済社様との取り組みを開始しました。以降、約2年にわたり、基盤刷新・生成AI活用・データベース更新という3つの大型プロジェクトと、日常の運用保守を継続してご支援しています。

協栄情報の支援内容

PHASE1

配信基盤の全面刷新とセキュリティ強化

2024年12月 – 2025年6月

まず着手したのは、現行業務フローとソースコードの棚卸しです。リプレースに伴う課題とリスクを洗い出したうえで、サーバー・ミドルウェア・CMS・データベースそれぞれの作業スコープを定義し、事業を止めない移行計画を策定しました。

アプリケーション・CMSの近代化RISFAXと医薬経済ONLINEのフロントエンド・バックエンド双方について、OS・Webサーバー・PHP・フレームワーク・CMSを、更新時点でサポート対象のバージョンへ更新しました。バージョン間の非互換箇所を一つひとつ精査してプログラムを修正し、新環境で疎通確認を重ねたうえで切り替えを実施。旧環境はサービス影響を確認しながら段階的に閉鎖しました。

AWS環境のセキュリティ強化継続的な安定運用とセキュリティ向上を目的に、ネットワークを専用の構成へ再設計し、サーバーをインターネットから直接到達できない配置へ移行しました。あわせてWAFの導入と運用、IAM権限・認証情報の運用方式の見直し、AWS管理用アカウントへの多要素認証の適用、外部向けファイル配信経路の暗号化方式への移行、エンドポイントセキュリティ製品の導入を実施し、多層的な防御を整えました。

運用基盤の整備CPU・メモリ・ディスク・死活監視の閾値設計、EC2およびRDSの世代管理を伴う日次バックアップ設計、パラメーターシートと構成図の整備を行い、「誰が見ても分かる」運用ドキュメントとしてお引き渡ししました。また、毎朝のアクセス集中に対しては時間帯スケジュールに基づくAuto Scalingを導入し、ピーク時の応答時間を6〜8秒から2秒以下へ改善しています。

PHASE2

生成AIによる英文版RISFAXの自動翻訳

2026年4月 –

基盤が安定したのち、次のテーマとして取り組んだのが翻訳業務の変革です。

Anthropic Claude Sonnetによる毎日の自動英訳毎朝の配信前に当日の記事を取得し、Amazon Bedrock上のAnthropic Claude Sonnetで英訳して公開用データベースへ書き戻す、サーバーレスのバッチ処理を構築しました。1日あたり20〜30本前後の記事を、人手を介さず安定して処理しています。生成AIによる推論処理は日本国内のAWSリージョンで実行する構成としています。また、複数記事で共通するプロンプト部分をキャッシュする仕組み等を活用し、品質を維持したままAI利用コストを抑制しています。

医薬業界に特化した用語集基盤生成AIは文脈理解には優れる一方、医薬品名の取り違えなど固有名詞の誤訳は業界紙として許容できません。そこで、行政機関・製薬企業・人名・医薬品名・専門用語のカテゴリで構成される用語集を構築し、翻訳時に必ず参照させる仕組みとしました。現在は、過去10年分のバックナンバーから固有名詞と英訳の対応を抽出・精査し、用語集を大幅に拡充するプロジェクトを進めています。

編集部との協働で品質を高め続ける運用生成AIの英訳は、編集部による確認・修正を経て公開されています。編集部の方が誤訳に気づいた際にその場で用語を登録・修正できるWeb UIを提供し、編集部が手を入れた英訳が翌日の自動処理で上書きされない制御も組み込みました。さらに、新薬の承認情報や企業の公開情報から新たな固有名詞の候補を定期的に収集し、翻訳前に用語集へ反映する仕組みについても、構築・検証を進めています。「一度整備して終わり」ではなく、日刊媒体で日々生まれる新語に追従し、翻訳品質を継続的に高めていく運用を目指しています。

PHASE3

データベースのメジャーバージョンアップ

2026年7月

基盤刷新の際にデータベースをサポート対象のバージョンへ更新していましたが、その後リリースされた新しいメジャーバージョンへの移行を、In-Place方式で実施しました。開発環境での事前検証を経て、医薬経済ONLINE、RISFAX・SmaRISの順に本番環境を段階的に移行し、配信業務への影響を最小限に抑えて完了。作業内容と結果は報告書としてお渡ししています。

ONGOING+

継続的な運用保守

2024年12月 – 現在

上記のプロジェクトと並行して、WAFの運用、監視アラートへの対応、月次の運用報告、AWSコストの見直し提案などを継続して行っています。会員ログインのボット対策やPDFコンテンツの保護など、事業を守るためのご提案も随時お届けしています。

成果

6–82秒以下
朝のアクセス集中時の応答時間
20–30本/日
生成AIが毎朝自動で英訳する記事数
3プロジェクト
基盤刷新・生成AI活用・データベース更新を運用保守と並行して完遂

事業を止めずに基盤を一新:日刊媒体の配信を継続しながら、OS・ミドルウェア・CMS・データベースを更新時点でサポート対象のバージョンへ更新。セキュリティ面では外部からの到達経路を絞り込み、多層防御と監視体制を整えたことで、安心して事業を継続できる基盤となりました。
翻訳業務の構造転換:毎日発生していた人手翻訳と校正の工程を見直し、生成AIによる英訳に、編集部による確認・修正と用語集の整備を組み合わせる体制へ転換。業務の効率化と翻訳品質の向上を進めています。
読者体験の向上:朝のアクセス集中時の応答時間を6〜8秒から2秒以下へ短縮。読者が最も記事を読む時間帯の体験を改善しました。
コスト最適化:不要なリソースや延長サポートの整理、セッション管理方式の見直しによる不要サービスの廃止などを通じてランニングコストを削減。生成AIについてもキャッシュの活用等により利用コストを抑制しています。

導入企業様の声

医薬経済社様との定例ミーティングの様子

困ったことが起きた際に、迅速かつ的確に対応していただける点を高く評価しています。状況や対応方針についても分かりやすく説明していただけるため、安心して相談できます。日々の相談からトラブル発生時の問題解決まで、安心して頼れるパートナーとして、今後も継続してお願いしたいと考えています。

株式会社医薬経済社 業務部 川野様

医薬経済社様からは、英訳に限らず、何か困ったことが起きた際の対応の迅速さと正確さについて高い評価をいただいています。トラブル発生時には状況と対応方針を分かりやすくご説明し、判断材料を揃えたうえで一緒に解決策を決めていく進め方が、「安心して相談できる」という信頼につながっています。日々のご相談から緊急時の問題解決まで、基盤刷新から生成AI活用、データベース更新へと、継続してお任せいただいています。

今後の展望

医薬経済社様とは、10年分のバックナンバーを活用した用語集の拡充を進めるとともに、会員向けコンテンツ保護の強化など、メディア事業の価値を守り高めるための取り組みを続けています。

本プロジェクトは、長年運用されてきた基盤の刷新と生成AIの実業務適用を一つの流れとして実現した事例です。「まずは足元のインフラを安全にし、そのうえでAIを活用する」というステップは、長年運用してきたシステムを抱えるメディア企業や出版社、専門情報サービス企業にとってのモデルケースになると考えています。協栄情報は今後も、お客様のAWS環境で安全に生成AIを活用いただくためのご支援を続けてまいります。

システムの刷新と生成AI活用を、一貫してご支援します

基盤のモダナイゼーションから、Amazon Bedrockを活用した生成AIの業務適用、その後の運用保守まで、協栄情報が伴走します。まずはお気軽にご相談ください。

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